見積もりを取ると、同じ家でも業者によって金額が大きく違うことがあります。差がつくのは建物本体よりも、家の前の道幅、庭のブロック塀や物置、地中に埋まっている古い基礎の扱いです。本体の費用に、こうした加算分を足していくと、自分の実家のおおよその総額が見えてきます。
本体の解体費は坪単価×坪数。木造は約3万〜6万円/坪
解体費の総額は、建物本体の解体費(坪単価×坪数)に、現場条件による加算を足したものです。解体業者の公式料金ページと見積もりサイトの公表額をまとめると、本体費用の目安は次のとおりです(2026年10月時点)。
- 建物本体の解体費坪単価×坪数
- 現場条件による加算道路・アスベスト・外構・埋設物など
- 現地見積もりで確定加算分を含めた金額
| 構造 | 坪単価の目安 |
|---|---|
| 木造 | 約3万〜6万円/坪 |
| 軽量鉄骨 | 約4万〜6万円/坪 |
| 重量鉄骨(S造) | 約5万〜7万円/坪 |
| 鉄筋コンクリート(RC造) | 約6万〜10万円/坪 |
木造は地域差が大きく、地方では3万〜4万円台、東京・大阪の見積もりでは5万〜6万円台が多く見られます。公表額の多くは建物本体だけの単価で、税抜のものもあります。
総額が上振れする4つの条件:道路、アスベスト、外構、埋設物
坪単価×坪数で出るのは、建物本体の費用です。実際の総額には、次の条件による費用が上乗せされます。上振れしやすい条件を知っておくと、見積もりに納得しやすくなります。
① 前面道路が狭く、重機が入れない
トラックや重機が家の前に入れないと、手壊し(手作業)や小型重機が必要になり、人件費・工期が増えます。旗竿地・狭小道路は上振れ要因です。
② アスベスト(石綿)が使われている
2006年9月より前に着工した建物では、屋根材・外壁・断熱材などにアスベストが使われていることがあります。含有が判明すると、事前調査・届出・専用の除去工事が必要で、費用が大きく変わります。使用の有無を調べる事前調査は、規模にかかわらずすべての解体工事で義務です(2023年10月以降に着工する工事は、講習を修了した調査者が行います)。さらに、解体部分の床面積が合計80㎡以上なら、2022年4月から調査結果を労働基準監督署と自治体へ報告することも義務になっています。調査や除去の費用は発注者(施主)が適正に負担するよう求められているので、見積もりに入っているかを確かめてください。
③ ブロック塀・庭木・物置などの外構
ブロック塀・門扉・庭木・庭石・カーポート・物置・浄化槽・井戸などの撤去は本体と別料金です。庭が広い戸建てほど加算されます。
④ 地中埋設物や、家財の残置
掘ってみたら旧基礎・浄化槽・ガラ(廃材)が埋まっていた、というケースは追加費用が発生します。また、家財が残ったままだと処分費が上乗せされるため、解体前に片付け(遺品整理)を済ませておくと総額を抑えられます(遺品整理の費用は「遺品整理の費用相場」)。
補助金は、出す自治体と出さない自治体がある
老朽化した空き家の解体に、補助金を出す自治体があります(「老朽危険空き家除却補助」などの名称)。ただし、制度の有無・上限額・要件は自治体ごとに大きく異なります。国レベルでも空き家対策を後押しする支援の枠組みがありますが、実際にいくら出るかは自治体の制度次第です。
費用を抑えるなら、相見積もり・先に片付け・着工前の補助金確認
- 複数社で相見積もりを取る:解体は事業者による差が大きい工事です。金額だけでなく、解体工事業の登録(または建設業許可)があるか、廃棄物の処分(マニフェスト)や届出をきちんと行う業者かを確認します。
- 家財を先に片付ける:残置物があると処分費が上乗せされます。解体前に遺品整理・不用品処分を済ませておくと総額が下がります。
- 補助金の有無を先に確認する:申請は着工前が原則です。工事を始めてからでは対象外になることが多いので、契約前に自治体へ確認します。
🔗 じまい堂では、解体業者のご案内を準備しています。登録・許可と実績を確認できた業者から順に掲載します。
次に知っておきたいこと:そもそも、解体したほうがいいのか
更地にすると売りやすくなる場合もあれば、解体せずにそのまま買い取ってもらえる場合もあります。売る・貸す・解体・持ち続けるのどれが自分の実家に向くかは、「実家を売る・貸す・解体、どれが得?出口の決め方」で、判断マトリクスを使って比べています。
ほかに気になることがあれば:
- 片付け・売却も含めた全体の費用 →「実家じまいの費用 総額はいくら?」
- 解体せずに置いておくとかかる費用 →「空き家を放置するとどうなる?」
出典(取得日 2026年10月16日)
- 解体費用の構造別坪単価・坪数別相場:解体業者4社の公式ページと、見積もり・比較サイト7件の公表額を集計(二次情報を含む。見積もりサイトの数字は成約額ではなく見積額)。目安であり、地域・立地・付帯工事・地中埋設物で変動する。公的な参考値として、自治体の解体補助の基準単価(例:宇都宮市 1㎡11,000円=約3.6万円/坪、北九州市 重機解体1㎡15,000円=約5万円/坪)がある(補助額を計算するための単価で、相場ではない)。
- 除却工事費の上限単価の推移(木造 令和3年度27,000円/㎡→令和8年度36,000円/㎡):国土交通省「住宅局所管事業に係る標準建設費等について」(各年度の通知、第9 不良住宅等除却費)。
- 解体工事業の登録:e-Gov法令検索「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」第21条。
- アスベストの事前調査(規模を問わず解体・改修工事で義務):石綿障害予防規則第3条=e-Gov法令検索「石綿障害予防規則」、大気汚染防止法。調査結果の報告(解体部分の床面積合計80㎡以上の解体工事等・2022年4月1日〜)、有資格者による調査(2023年10月1日以降着工)、発注者の費用負担への配慮:厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」、同「発注者の皆様へ」(取得日 2026年10月11日)。
- 解体補助金:自治体ごとの空き家除却補助制度、および国の空き家対策関連支援の枠組み。制度の有無・金額・要件は自治体により異なる。
相場・制度の数値は市況・改正で変わります。金額は複数社の見積もりで、補助金は着工前に自治体でご確認ください。じまい堂は事業者・制度の情報を整理してお渡しする立場で、工事契約には関与しません。