見積もりを集め始めると、請求元がばらばらなことに気づきます。片付けは遺品整理業者、解体は解体業者、売却は不動産会社、名義変更は登記の実費。それぞれの相場は調べられても、全部でいくらになるのかは見えてきません。ここでは費用を4つに分けて足し、ケース別の合計を出します。


総額は「片付け+解体+不動産の諸費用+手続きの実費」の合計

どれがかかるかは、家をどうするか(売る/解体する/そのまま)で変わります。

#費用の柱かかるケース相場の目安
①片付け(遺品整理・不用品処分)ほぼ全ケース数万〜数十万円(間取り・物量による)
②解体/原状回復更地にして売る・貸すとき木造30坪で本体約90〜180万円
③不動産の諸費用売却・賃貸するとき売買価格や契約による
④手続きの実費相続・名義変更が必要なとき登録免許税・書類取得費など

ケース別の合計:更地にする戸建ては、片付けと解体で約100万〜230万円

①〜④を足すと、総額はケースによってこう変わります(いずれも目安。実額は見積もり次第)。

家をどうするかで変わる合計の目安
  • マンション1室をそのまま売却数十万円〜(解体なし)
  • 戸建て(木造30坪)を更地化して売却片付け+解体で約100万〜230万円、ここに売却の諸費用と手続きの実費
  • 遠方・残置が多い戸建て更地化して売る戸建てより上振れ
ケース内訳の考え方合計の目安
A. マンション1室をそのまま売却①片付け + ③諸費用(解体なし)数十万円〜
B. 戸建て(木造30坪)を更地化して売却①片付け(3LDK相当で約15〜50万)+ ②解体(本体約90〜180万)+ ③諸費用 + ④手続き①+②で約100万〜230万円。③④は売却価格や相続の状況で変わる
C. 遠方・残置が多い戸建てBに、遠方の出張費・追加人員・処分量の割増Bより上振れ

AとBの差のほとんどは、解体費です。それぞれの費用の中身を、以下で順に見ていきます。


片付けは間取りで決まる。3LDKで約15万〜50万円

遺品整理・不用品処分の費用は、間取り(物量)でおおよそ決まります。事業者の公式料金ページと比較サイトの公表額をまとめると、次のレンジです(2026年10月時点)。

間取り費用の目安
1R・1K約3万〜8万円
2LDK約10万〜30万円
3LDK約15万〜50万円
4LDK以上・一戸建て約20万〜60万円

公式料金ページの「◯万円〜」は物が少ない場合の最低額です。家電リサイクル料や処分費を含むかどうかも会社ごとに違います。

同じ1Kでも、物が多ければ上振れし、広くても物が少なければ抑えられます。ほかに作業時期、階数・搬出のしやすさ、特殊清掃の要否でも変わるため、正確な金額は複数社の見積もりを比べるのがいちばん確かです。間取り別の相場と、費用が動く4つの要因は「遺品整理の費用相場」にまとめています。

🔗 家庭の不用品を回収するには、市区町村の許可(または許可業者への委託)が要ります。業者に頼む前に、実家のある市区町村のサイトで「一般廃棄物収集運搬業 許可業者一覧」を確かめておくと安心です。「まず1部屋だけ」の部分委託ができる業者もあります。


解体は木造30坪で本体約90万〜180万円。ここ数年で値上がりしている

更地にして売る・貸す場合は、解体費用がかかります。構造 × 坪数が目安です(2026年10月時点)。

構造坪単価の目安
木造約3万〜6万円/坪
軽量鉄骨約4万〜6万円/坪
重量鉄骨約5万〜7万円/坪

坪数別の例(木造):30坪で本体約90万〜180万円。木造は地域差が大きく、東京・大阪の見積もりは高めに出ます。

「坪単価×坪数」は目安で、重機が入れるかどうか、庭木・ブロック塀・地中埋設物などの付帯工事、廃材の量で大きく変わります。自治体によっては解体の補助金がありますが、制度の有無や条件は自治体ごとに異なるため、実家のある自治体で確かめてください。加算要因の詳細は「解体費用の相場」に、補助金の探し方は「実家じまいの補助金・自治体制度の探し方」にまとめています。

🔗 じまい堂では、解体業者のご案内を準備しています。登録・許可と実績を確認できた業者から順に掲載します。


売るときは、不動産会社への手数料・印紙税・譲渡所得税がかかる

実家を売る場合、売却価格から次の諸費用が差し引かれます。

不動産会社への手数料は「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限

不動産会社に買い手探しを頼んで売る場合、成約時に手数料(宅地建物取引業法上の「報酬」)がかかります。上限は宅地建物取引業法(第46条)と国土交通省の告示で定められており、売買価格が400万円を超える場合は「売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税」が上限の速算式です。

  • たとえば1,500万円で売却 → 上限は 1,500万円 × 3% + 6万円 = 51万円 +消費税。
  • 2024年7月の改正で、売買価格800万円以下の低廉な物件は、現地調査などの費用を含めて、売主・買主の一方から受け取れる報酬を30万円(税抜)まで認める特例があります(30万円が別に上乗せされるわけではなく、上限の引き上げです)。

買取業者に直接売る場合は、この手数料がかからないのが一般的です。その代わり、買取価格は市場で売るより抑えめになる傾向があります。じまい堂は売買そのものには関与せず、買取業者・不動産会社の情報をお渡しするところまでを担います。

売り方で変わる手数料
  • 不動産会社に買い手探しを頼んで売る成約時に手数料がかかる(上限は速算式で計算)
  • 買取業者に直接売る手数料はかからないのが一般的。買取価格は抑えめの傾向

印紙税と登記の費用

  • 印紙税:不動産の売買契約書には、契約金額に応じた印紙税がかかります(金額は国税庁の定めによる)。
  • 登記関連費用:相続による名義変更(相続登記)や、住所変更登記などに登録免許税・専門家報酬がかかることがあります。

利益が出たら譲渡所得税。相続した空き家なら最高3,000万円の控除を使える場合がある

売却で利益(譲渡所得)が出ると、譲渡所得税・住民税の対象になります。ただし、相続した空き家の売却には「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」があり、1981年5月31日以前に建てられた家であることなどの要件をすべて満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます(国税庁 No.3306)。

主な要件の概要(2026年7月時点):

  • 平成28年4月1日〜令和9年12月31日までの譲渡が対象。
  • 相続開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
  • 売却代金が1億円以下であること。
  • 令和6年1月1日以後の譲渡で、その家屋・敷地を取得した相続人が3人以上の場合は控除額が2,000万円に。
  • ほかにも家屋の建築時期・耐震・利用状況などの要件があります。

手続きの実費は、書類代・登録免許税・専門家への報酬

相続・名義変更にともなう実費です。金額は状況で変わります。

  • 戸籍・住民票などの書類取得費(数百円〜数千円単位を複数)。
  • 相続登記の登録免許税(不動産の評価額に応じる)。
  • 専門家(司法書士・税理士など)に依頼する場合の報酬。

手続きの全体像と期限は「親が亡くなった後、家の片付けと手続きの全体像」にまとめています。


費用を抑えるなら、解体の要否と片付けの相見積もりから

  1. 片付け・解体は複数社で見積もりを比べる:同じ作業でも数万〜数十万円の差が出ます。
  2. 更地にすると決める前に、そのまま買い取る業者がないかも比べる:買取なら手数料がかからず、解体も要らない場合があります。
  3. 使える制度を確認する:空き家の3,000万円特別控除や自治体の解体補助など。適用できるかは専門家・自治体で確認を。

次に知っておきたいこと:解体して売るか、そのまま売るか

総額の差がいちばん大きく出るのは、解体するかどうかでした。売る・貸す・解体・持ち続けるのどれが自分の実家に向くかは、「実家を売る・貸す・解体、どれが得?出口の決め方」で、判断マトリクスを使って比べています。

ほかに気になることがあれば:


出典(取得日 2026年10月16日)

  • 遺品整理の費用相場(間取り別の目安):遺品整理事業者9社の公式料金ページ(「◯万円〜」の最低額)と比較サイト6件の公表額を集計(二次情報を含む)。物量・時期・地域・料金に含む範囲で変動する。詳しくは「遺品整理の費用相場」。
  • 解体費用の坪単価・坪数別相場:解体業者4社の公式ページと見積もり・比較サイト7件の公表額を集計(二次情報を含む)。目安であり立地・付帯工事で変動する。詳しくは「実家の解体費用の相場」。
  • 解体費の上昇(除却工事費の上限単価 木造 令和3年度27,000円/㎡→令和8年度36,000円/㎡):国土交通省「住宅局所管事業に係る標準建設費等について」。
  • 合計の目安(片付け+解体):本記事の①②の目安の足し算(3LDK相当の片付け約15〜50万円+木造30坪の解体本体約90〜180万円)。
  • 不動産会社の手数料(報酬)の上限(速算式・宅建業法第46条・国土交通省告示、2024年7月改正の800万円以下30万円):国土交通省 報酬規程の改正資料(PDF)(令和6年国土交通省告示第949号)、e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」第46条(取得日 2026年10月16日)。
  • 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(3,000万円特別控除、要件・期限・1億円上限・令和6年改正):国税庁 No.3306(一次出典)。
  • 印紙税:国税庁(不動産の譲渡等に関する契約書の印紙税)。

相場・制度の数値は改正や市況で変わります。契約・申告の前に、最新の一次情報(国税庁・国土交通省・自治体)と専門家でご確認ください。