相続した実家や、親が施設に入って空いた家を「当面は売らずに持っておく」と決めると、次に来るのが管理です。最初の数か月は気にかけて通えても、仕事や家の用事が重なると、気づけば半年行けていない、ということが起こります。その間にも、閉め切った家の中では湿気がこもり、ポストには郵便がたまっていきます。
人が住まない家は、換気と通水が止まると早く傷む
人が住まない家は、驚くほど早く傷みます。換気されないことによる湿気・カビ・木材の腐食、通水しないことによる排水トラップの蒸発(下水の臭気・害虫の侵入)、庭木・雑草の繁茂、郵便物の滞留による空き家の露見(防犯上のリスク)。さらに、管理が行き届かないと、市町村から「管理不全空家等」「特定空家等」と判断されることがあります。指導のあとに勧告を受けると住宅用地特例が外れ、土地の固定資産税が上がります(負担調整後で最大約4.2倍)。特定空家等は、命令(違反は50万円以下の過料)や行政代執行に進むこともあります(詳しくは「空き家を放置すると税金が上がる?」)。
管理でやることは、換気・通水・郵便の回収など6項目
| 項目 | 目的 | 頻度の目安 |
|---|---|---|
| 換気(窓・押し入れを開ける) | 湿気・カビ防止 | 月1回程度 |
| 通水(蛇口・トイレを流す) | 排水トラップの臭気・害虫防止 | 月1回程度 |
| 郵便物の回収 | 防犯・滞納通知の見落とし防止 | 都度 |
| 庭木・雑草の管理 | 越境・害虫・近隣トラブル防止 | 季節ごと |
| 建物の外観点検 | 雨漏り・破損・不法侵入の早期発見 | 訪問時 |
| ポスト・門扉・施錠の確認 | 防犯 | 訪問時 |
自分でやるか委託するかは、日帰りで月1回通えるかで決まる
判断の軸は、実家までの距離と、現実に訪問できる頻度です。
- 日帰りで行ける距離で、月1回程度継続的に通える自分で管理できる
- 遠方で往復に丸一日かかる/定期訪問の時間が取れない委託を考える
- 台風・大雪のあとだけ点検してほしいスポットで委託を考える
片道1〜2時間で、月1回通い続けられるなら自分で管理できる
- 実家まで日帰りで行ける距離(片道1〜2時間程度)。
- 月1回程度、継続的に通える時間と体力がある。
- この場合の実費は交通費とガソリン代が中心です。ただし「行くつもりが半年空いてしまう」と一気に傷むため、続けられるかが分かれ目です。
遠方、時間が取れない、災害の後だけ見てほしいなら委託を考える
- 実家が遠方で、往復に丸一日かかる/交通費がかさむ。
- 仕事・介護などで定期訪問の時間が取れない。
- 台風・大雪のあとだけ点検してほしいなどスポットの需要がある。
委託の費用は、屋内込みの標準プランで月6,000円台〜1万円台
空き家管理の代行サービスは、訪問頻度と作業範囲で料金が決まります。自治体の登録名簿やシルバー人材センターの案内、事業者の公表プランを整理すると、おおよそ次の水準です(2026年10月時点の一般的な目安)。
| プラン | 内容の目安 | 費用の目安(月額) |
|---|---|---|
| ライト(外観のみ) | 月1回・外観点検・郵便回収・報告 | 数千円程度〜 |
| 標準(屋内込み) | 月1回・換気・通水・屋内点検・写真報告 | 6,000円台〜1万円台(地域の事業者・NPOは1万円未満が多く、全国展開の大手は1万〜1.6万円前後) |
| 手厚い/オプション | 庭木剪定・清掃・台風後点検など | 都度・別料金 |
金額は事業者・地域・建物条件で幅があります(一例・目安)。比べるときは、報告写真の有無、緊急時の対応範囲、庭木・清掃が別料金かを見ます。正確な料金は複数社の見積もりで確かめてください。
🔗 管理サービスを探す → 実家までの距離と希望頻度を入力すると、自分でやる/委託するの目安と、条件に合う管理サービスの情報をご案内します。「まず外観点検だけ」「遠方なので全部任せたい」といった条件でも探せます。
自治体が指定する「空家等管理活用支援法人」が、管理や相談を受けている地域もあります(空家法23・24条)。お住まいの市区町村の空き家窓口でご確認ください。
月1万円の管理は5年で60万円。手放すコストと並べて比べる
管理には毎月コストがかかります。「とりあえず持つ」を漫然と続けると、管理費の累計が、手放すためのコスト(解体費・買取での値引き)を上回ることがあります。
判断するときは、「あと何年で、どの出口に向かうのか」を仮でも決め、次の3つを並べます。
- その期間の管理費の累計
- 放置した場合のリスク(特定空家等と判断された場合の税負担の増加など)
- 今手放す場合のコスト(解体費の目安は「実家の解体費用の相場」)
次に知っておきたいこと:持ち続けるか、手放すか
管理費の累計を計算すると、「そもそも持ち続けるべきか」が気になってくるはずです。売る・貸す・解体・持ち続けるのそれぞれが向く条件は、「実家を売る・貸す・解体、どれが得?出口の決め方」で判断マトリクスにまとめています。
ほかに気になることがあれば:
- 売りに出しても買い手がつかない →「田舎の実家が売れない…処分の選択肢」
- 解体や管理に使える補助金を探したい →「実家じまいの補助金・自治体制度の探し方」
出典(取得日 2026年10月11日・料金は2026年10月16日)
- 空き家管理代行サービスのプラン・費用の目安:福井県「空き家管理代行サービス事業者登録名簿」(2026年7月作成。外回りのみのプランを含む)、松戸市「空き家の適正管理に関する民間サービスの概要一覧」(令和8年1月末現在)、各市シルバー人材センターの案内(外観の見回り1回2,500〜3,300円)、および事業者の公表プラン。数値は一般的な目安で、地域・建物条件・作業範囲で変動する。
- 管理不全空家等・特定空家等の判断と指導・勧告・命令(過料は30条)・代執行(13条・22条)、空家等管理活用支援法人(23・24条):e-Gov法令検索「空家等対策の推進に関する特別措置法」(一次出典)。
- 住宅用地特例の解除(勧告による)と負担調整後の最大約4.2倍(0.7÷1/6):e-Gov法令検索「地方税法」第349条の3の2・附則第18条第5項(一次出典)。詳細は「空き家を放置すると税金が上がる?」参照。
費用・プランは事業者ごとに異なります。料金は複数社の見積もりでご確認ください。じまい堂は管理サービスの情報を整理してご案内する立場で、契約・料金決定や、不動産の売買そのものには関与しません。